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RPA とは、デジタル従業員を使った自動化・・・であるべき。なぜなら効果が出にくいから

・この記事は、QiitaRPA Advent Calendar 2019 に参加してます。

(12/16)

qiita.com

 

イマイチ、Advent Calendar が何なのかわかってないが

年末と言うこともあり、RPAそもそも論みたいな記事を

書きます!

 

 

ググって知る「RPA とは」

RPA とはでググると、これらの記事が見つかります。

liskul.com

boxil.jp

www.nri.com

ja.wikipedia.org

 

これらの記事からは、RPA とは

  • 定型業務の自動化をするもの
  • 人の操作をなぞるように動作する
  • AI とは違う

といった内容が読み取れます。

 

・・・いや、間違いではないと思うよ。間違いではないんだけど。。

ちょっとこれだけと不十分で、本来の RPA の定義に

踏み込み切れてないと感じています。

 

特にデジタル従業員(Digital Workforce, Digital Labor)

という RPA において非常に重要な考え方が、ちょっと

曖昧な印象です。

そういうわけで、この記事では RPA において、

デジタル従業員がなぜ重要なのか、図解したいと思います。

 

RPA とはデジタル従業員の導入を指す

コア業務とノンコア業務、そして定型業務

RPA の話をする前に、会社とか組織が、どんな風に

普段の業務をこなしているかを考えます。

 

会社とか組織、説明をわかりやすくするために特に

営利団体(企業)にフォーカスすると、企業は

付加価値を発生させて、利益を上げることが求められます。

 

付加価値を発生させるためには、様々な活動が必要です。*1

f:id:EnterpriseBlueOcean:20191130125432p:plain

 

これらの活動の中には、自社でしか出来ない、

企業の競争優位に直結する業務もあれば、割と

他社でも同じようなことをやっている業務

含まれます。

これらをコア業務ノンコア業務みたいに

呼んだりします。*2

 

ノンコア業務はその位置づけ上、定型業務が

多い傾向があります。

誰でもすぐに出来るようなものから、

専門的な資格を必要とするものまで様々ですが、

法律をはじめとしたルールで縛られ、共通規格で

標準化されるなどして、定型的に業務を

進めることが可能です。

 

企業の場合、なにぶん、他の企業との競争

あるので、できるだけコア業務に集中することが

求められます。

そこで、ノンコア業務に集中する子会社を作ったり、

ノンコア業務に特化したアウトソーシング会社

外注したりします。

 

しかしながら、コア業務とノンコア業務と言うのは、

キレイに分離できるものではなく境界が曖昧

ことは多々あります。

また、顧客や競合など、自社を取り巻く環境も日々、

変わっているので、新たなノンコア業務も生み出されます。*3

 

そういうわけで、ほとんどの企業の中は、

以下の状態になっていると思います。

  • ノンコア業務はできるだけ外注している
  • ただし実際は企業内にコア業務とノンコア業務が混在している
  • ノンコア業務は定型業務が多い傾向がある

 

要するに・・・こんな感じだ!

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 ※ ここから幾つか図が出てきますが、すべてイメージです。

 

RPA による自動化とデジタル従業員の導入

RPA定型業務の自動化に効果を発揮するのは

事実で、RPA の効果は業務委託、BPO および

自社内の両方に期待できます。

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ここで重要なポイントは、デジタル従業員

(Digital Workforce, Digital Labor)を作る

ということです。

 

自社の自動化を例にあげて考えますが、

3名の業務を自動化する際に、以下のように

ロボットに業務を寄せます

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このロボットは、従業員とは分離された環境で、

寄せられた業務を集約的に処理します。

 

いろんな業務が寄せられてくるので、

システムの操作権限の縛りから、複数の

ユーザーID が必要になる場合があります。

(経理用ID、人事用ID、営業用IDなど)

その場合はロボット用のユーザーID を部署ごと

に作成し、ロボットはロボット用のユーザーID

を切り替えながらひとつの環境次々と

自動化処理を実行していきます。

 

このように動作させることで、① 自社の従業員

② 業務委託、BPOに次ぐ第3の従業員のように

振舞うことから、単なるロボットではなく、

デジタル従業員(Digital Workforce, Digital Labor)

となるわけです。

 

デジタル従業員を作ること、すなわち

ロボットの環境を分離し、自動化処理を集約

して実行するメリットは以下になります。

  1. コスト効果が高い(デジタル従業員の稼働率が高い)
  2. セキュリティ向上/監査対応(分離された環境のため制御しやすい)
  3. 運用管理が容易(従来のITシステム運用のノウハウが生きる)
  4. 業務改革を推進(業務組み換えを前提にできる)

最もわかりやすい効果は、1. コスト効果が高い

だと思います。デジタル従業員は理論的には、人間の

4倍以上、働くことが出来ます。たくさんの業務

1人のデジタル従業員に寄せることが可能です。

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しかしながら、私がこの中で最も重要と考えるのが、

4. 業務改革を推進です。

 

重要なのは業務改革。

なぜ業務改革が重要なのか。それは RPA の効果を

しっかりと出すためです。

 

会社や組織の施策として RPA を導入する限り、

測定可能な効果を出す必要があります。

 

業務委託、BPO に関して言うと、話は比較的、

わかりやすいでしょう。

業務委託、BPO に出していた業務をデジタル従業員に

実施させ巻き取ることで、委託費用を下げる選択肢が

あります。

あるいは、BPO 事業者側が RPA をうまく導入する

ことで、BPO 事業のコスト構造を改善したり、より

多くの業務を受注することも考えられるでしょう。

 

しかし、自社内に適用する場合はどうでしょうか。

昨今、日本の RPA に関しては、効果がよく

わからないという意見があります。

要は、自社内に RPA を適用したが、業務も組織も

適用前から何も変わらず何の効果があったのか

わからない・・・という問題です。

 

いやいや、よく「RPA で何万時間削減!

とか言われてるじゃん・・・という意見もあります。

しかし、企業における効果というのは、コストが

下がるとか、売上が増えるとか、今まで出来なかった

ことが出来るようになるとか、そういう話です。

 

企業の視点で考えた場合、何万時間削減!というのは

ただの途中経過です。

 

RPA の効果途中経過にとどまらせないように

するために、業務の組み換えを行い、削減時間を

企業活動に活かす必要があります。

つまり、こういう状況だったものを、、

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こうして

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こうするのだ!

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業務組み換えを前提としたデジタル従業員を導入し、

既存の業務組み換えで従業員の人的リソースを開放し、

(上の図の左端の人)

開放された部分はコア業務がベストだけど

まぁ現実的には負荷の集中している業務や、

バリューチェーンの中のボトルネックになって

いる業務に戦略的に転換する。

こうすることで、はじめて自社内の RPA 導入は、

企業の視点における効果を生むことになります。

 

日本では、デジタル従業員なしの RPA が普及しつつある

日本の RPA は、自社の従業員にロボットを配る 

しかし残念ながら、日本の RPA では、デジタル従業員

を作る・・・という話には多くの場合、なっていません

 

日本の RPA とは、自社の従業員にロボットを配ること、

そのものになっています。

例えていうなら、以下のような形です。

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これが日本固有のガラパゴス化した RPA であり、

これで効果が出ていて、むしろ世界に先駆ける

誇るべき RPA になっている?・・・という

ことであれば、何も言うことはありません。

 

しかし、実際はどうでしょうか

スピリチュアル RPA(企業の目線で効果は出ないが、従業員の気持ちが楽になったとか、そういう精神論に逃げた話)になってはいないでしょうか?

こんなんただのマクロ、VBAと何が違うのか? GUI で作れます、プログラミングはいりません、でもやっぱりプログラミング的な思考は必要です・・・?そんなつまらないことのために、高額なライセンス費用を支払ってペイしますか?

 

従業員にロボットを配っても、何も変わらない

残念ながら、自社の社員にロボットを配っても

業務も組織も、何も変わらないように感じています。

 

自動化による削減時間が、コア業務への転換とか、

高付加価値業務への転換には使われない

各人の裁量で自動化しているので、各人の裁量の

範囲でしか活用できない。

 

残業時間の削減、、につながるなら良い方で、

多くは優先度低の業務をやるとか、あるいは、

休憩とか・・・大したことには使われない

仮に、各人が削減時間を活かす方法を考えた

しても、各人の裁量では、結局、ほとんど何も

できないのが現実ではないでしょうか。

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結果として、RPA を導入した会社や組織は、

削減時間は何万時間と謳うけれども、外から見ると

人が減っているわけでも無いし業務が変わった

わけでもない

削減時間そのもの、つまり自動化すること

自体が目的になってしまい、本来の企業活動を

見失っていると思います。

 

日本の RPA は、デジタル従業員という本来の

コンセプトを忘れ各人のデスクトップ

の自動化矮小化された結果、業務効果を出せず

にいるのではないか。

それがこの記事での問題提起です。

 

まとめ 

  • RPA とは?という記事は、ググればたくさん見つかるが、RPA のキーコンセプトであるデジタル従業員を解説した記事はほとんどない
  • 業務組み換えを前提とするデジタル従業員の導入こそが、業務改革を起こし、生産年齢人口が急減する日本の処方箋になりえる
  • 従業員にロボットを配る RPA は、日本ではメジャーになっているが、このやり方は何を為すことはなく、効果を生むことはなく、日本の現状をいたずらに停滞させるだけである

あくまで私の意見なので、異論、反論、多々、あるかと

思います。今回の記事における私の意図は、自分の意見を

押し付けることではなく、日本において話題にも上がらない

デジタル従業員と言うものが、RPA の成功における重要な

キーコンセプトである・・・という問題提起です。

 

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日本の RPA が、大きな効果を生んでいくことを願ってます。

もし不幸にして、そうなっていないなら、日本の世論を変えたい。

生産年齢人口の急減は、日本の最重要課題のひとつなのに、

このままではうまく RPA を活用しきれない気がしています。